「「空白の時間」との闘い」 井尻直彦

The Voicers Report は、世界各地で活躍する10人のゴーゲッターで構成された The Voicers が各々の活躍の現場から情報発信をしています。今回は、歴代最年少で「ニチケイ」こと日本大学経済学部の学部長になった井尻直彦さんです。

 

Gogetterzの読者のみなさん、こんにちは。

もう10月ですね。
急に気温が下がり始めましたね。いつものように、すぐに秋が深まり、あっという間に冬が来ます。大人になると時が経つのは本当に早いので、すこしでも時間を大切にして過ごしたいですね。

とはいえ、身の回りに常にネットがあり、PC、スマホ、スマートウォッチからメール、SNS、ニュースなどが溢れ出てきて、私の雑念を増やしてくれます。ついつい雑念に負けてしまい、何もアウトプットを出さない「空白の時間」が少なからず生じてしまいます。こんな調子で時間の無駄遣いをしていたら、時間はいくらあっても足りません。Gogetterzの読者のみなさんはいかがでしょうか。

 

1 時間が無いはずはないのだけれど

経済学は有限なインプット(投入物)を可能な限り効率的に使う方法を追求しています。経済学者は、私達の生活をより良いものにするために、資金、人財、資源、アイデアなどなどを上手く使う方法を考え、社会に提案しています。時間は無限ではないのは当然なので、わざわざ経済学的に考えなくても、効率的に時間を使うことが大事なのは言うまでもありません。ですから、今回は経済学的ではなく一般的なお話です。

「貴重な時間を効率的に使う方法」に関していろいろな本が出版されています。街の本屋さんでは効率的な時間の使い方に関するハウツー本が平積みされていますし、ネットで検索すれば世界中でこのテーマの本が出版されていることがわかります。みなさん、洋の東西を問わず、効率的な時間の使い方を追い求めているのですね。

集中して仕事に取組み、一定の時間のなかで可能な限り多くの仕事をこなす。あるいは、早く仕事を終わらせて、自分の時間を自由に過ごす。

たしかに、このようにスムーズに仕事を片付けられたらすばらしいですね。残念ながら、雑念が多く私にはなかなかできません。

 

2 わかっているけど、集中できない

効率的なインプット方法に関して前回に書きました。仮にインプットを効率的にできても、アウトプットも効率的に出さないと、結果的に効率的な成果を期待できません。

アウトプットは、自分の評価そのものです。そのため、アウトプットのクオリティに拘ります。そうすると、当然ですが、どうしてもアウトプットを出すのに時間が掛かる傾向にあります。つまり良いアウトプットを出すためには、必要な時間を確保することが大切です。GoGetterzのみなさんも良い成果を収めるために様々な方法で時間を確保されているでしょう。

時間を確保するためのキーワードは集中だろうと思います。非凡な能力を持っている人はその高い能力で高いパフォーマンスを出せるのでしょう。しかし大半の人は凡人です。私を含めて凡人がパフォーマンスを高めるには、集中が大事です。

ちなみに、集中と集中力は異なると思います。私は、集中とは1日24時間を自分の意図どおり使うことを意味しており、集中力とはその集中している時間における思考の密度を高める力のことを意味していると考えています。

溢れる雑念に負けずに、いかに集中するか。つまり、いまやるべきことに時間をどれだけ使えるか。これは私にとって永遠のテーマだと思っています。おそらく皆さんにとってもそうなのではないでしょうか(だから沢山の本が出版されているのでしょう。)

 

3. スケジュール管理は目標管理

一日の様々なスケジュールを管理することは大切です。みなさんも様々なツールやアプリを使って忙しい日々のスケジュール管理をしていることだと思います。大学によって状況は異なるのでしょうが、ニチケイの学部長の1週間のスケジュールはすぐにいっぱいになります。私は1週間に90分の講義を6コマ担当しています(昨年はもっと多かったです)。これら講義以外の時間の中で、校務を以下のように管理しています。

お客様とのアポを15分から30分単位で管理しています。学内の各種ミーティングは30分から60分ぐらい、教授会などの大きな会議は90分ぐらいでスケジュールを管理します。外部に出ることもあり、場所によって2時間から半日程度で管理します。そして、スケジュールが入っていない時間で、決済等の事務処理をしています。学内のスタッフは私のスケジュールをネットワーク上で見て、決済のタイミングを計っています。幸いにもスケジュール管理をサポートしてくれる優秀なスタッフがいるので、日々おおよそスムーズに校務の時間が流れていきます。あまり頭を使わない仕事であれば、だいたいスムーズに完了します。

おそらくみなさんも不測の事態が生じない限り、自分のスケジュールをコントロールできているだろうと思います。ですから、スケジュール管理は良いアウトプットを出すために大きな問題ではないだろうと思います。

しかし、いくら上手くスケジュール管理をしても、すきま時間が生じます。たとえば、お客さんが予定よりも早く帰られた。ミーティングが早く終わった。予定が変更になったなど、次の予定まで少し時間が空くことがあります。アウトプットを出すために、このすきま時間をうまく使うことが大切です。でも、なかなかすきま時間を上手く使えないのが現実です。

ここからが問題です。スケジュールが無いのに、仕事(あるいは勉強)をしていない空白の時間を過ごしてしまった。みなさん、こんなことがありませんか。私は多々あります。これはサボるとか息抜きとはちょっと違い、ただ単に気が進まないので特に何も生み出していないのです。ちなみに、私は頭を使う仕事ほど気が進まないことが多いです。

 

4.何も予定がない時間>集中する時間

気が進まない仕事は、どうしても空白の時間ができてしまいます。これではアウトプットが出てきません。気が進まない自分自身をどうコントールするか。たとえば以下のような方法があるのではないでしょうか。

①本気の締め切りを設定する
自分で設定した締切りはサボってしまうのでほぼ意味がありません。しかし、誰かに迷惑をかけてしまうような締切りはだいぶ有効です(尻に火が付く状況です)。

②たっぷりと気分転換
これは有効な可能性があります。集中力を高めるには良いかもしれません。これで集中スイッチが入る人はすばらしいですね(私はいつまでも気分転換していたくなります)。

③複数のタスクを同時に行う
やるべき(やりたい)ことはひとつではないことが多いと思います。1つのタスクに飽きる、あるいは詰まる場合、すぐに次のタスクに取り掛かる。これを続けていると複数のタスクを少しずつ進めることができます。私はほぼこの状態です。しかし、この方法では1つのタスクを終わらせるには時間が掛かり過ぎることもあります。

④2週間に一日予定をいれない日をつくる
長期的なスケジュールを組む前に、予定を入れないOFF日を定期的に設定します。OFF日以外には予定を普通に入れておき、どうしても調整がつかない予定をこのOFF日に入れます。そうするとOFF日は比較的予定が少ないか、上手く行けば何も予定が無いということになります。OFF日は比較的余裕を持って溜まった仕事を片付ける日になります。

他にも気が進まない自分をコントロールする方法はあるだろうと思いますし、みなさんは自分なりの方法を試しているだろうと思います。どんな方法が自分にとって正解なのか。これはみなさんが自分自身と相談しながら探すしかないのだろうと思います。

 


27インチのモニターを2つ使用して、マルチタスク。やり掛けのタスクを開きっぱなしにしています。

 


なんとなくワードを左にしています。

 


エクセル、パワポ、メール等を右にしています。

 

おわりに

私は、さきほどの①から④までを組み合わせています。すき間時間を作り出して、すき間時間をうまく使うように努力しています。

個人的には、研究と仕事は時間の流れ方が違うと感じています。研究の場合は時間がすぐに経ってしまいますが、仕事の場合はややゆっくりと時間が流れていきます。

おそらくクリエイティブな要素をもつタスクは、時が経つのを感じにくくなるのでしょう(つまり時の流れが速い)。しかし、仕事の場合は、まわりの人との協調もあるので時計どおりに時は過ぎていくのだろうと思います。

研究であれ、仕事であれ、どちらのタスクをしている場合でも、集中できなくなることがあるので、そのときは諦めてタスクを中断します。ただし、中断する前に少しだけでも集中してそのタスクと向き合っておきます。こうすることにより、他のタスクをしている時でも、あるいはまったくタクスをしていない時でも、頭のなかで中断したタスクが進んでいることがあります。まったく関係ない時に、ハッと、突然良い(と思われる)アイデアが浮かんだり、問題の解決方法を見つけたりします。サブコンシャスです。不思議ですが、私は意外とこれに助けられています。良いアウトプットには、時間の使い方だけではなく、頭の使い方も大切なのでしょう。

ただ、こうやってなんとか効率的に時間を使おうとして努力しているのに、電話が鳴るとすべて台無しになってしまうことが多くあります。電話は受け手にとって本当に迷惑なツールです。私は、職場では、同僚の方々の邪魔をできるだけしないように、メールか、チャットを使って必要なコミュニケーションを取るように心がけています。