「女子力の次にくるのは、女子抗力だ」女の欲望ラボ代表 山本貴代

The Voicers Report は、世界各地で活躍する10人のゴーゲッターで構成された The Voicers が各々の活躍の現場から情報発信をしています。今回は、女の欲望を知り尽くす女性生活アナリストの山本貴代さんです。

こんにちは。あっと言う間に、2回目コラムがまわってきました。お元気でしたか?
私は、春生まれなので、この季節になるとさらにパワーアップしてきます。

さて。
今回は前回の予告どおり、「女子抗力」についてお話しましょう。女子力の次にくるパワーの話です。

前置きとして、まずはこのキーワードに辿り着くまでをお話しします。

メディアはいつも、ビジネスになるキーワードを探しています。
私は、気がつけば20年以上「生活者研究」というものをやっていて、これまで様々なキーワードと付き合ってきたのでわかるのですが、キーワードと言うものがあると、世の中の現象が明確化され、モノ・コトが売れやすくなります。

日々起こるさまざまな出来事は、ひとつひとつだと捉えにくいのですが、「あれこれそれってなんか似ているよね、じゃあ、○○シンドロームって名づけよう」とすることで、なんとなく世の中の流れが見えてくるのです。そしてその言葉が世に放たれると、独り歩きが始まります。
「私もそういえばそう」「僕もだ」と共感すると、みんなが○○シンドロームを広め始めてくれます。

90年代のキーワードは「癒し」

たとえば、バブルが崩壊したあと、「癒し」という言葉が生まれて、流行りました。
みんな疲れていたので、癒されたかったのですね。「癒す」という言葉はいままでもありましたが、「癒し」はありませんでした。ほんとです。
そのうち、「癒し系」なんていうカテゴリーもできて、そこに乗っかったサービスやグッズはかなり売れました。「癒しビジネス」は、巨大市場になりました。時代は右下がりだったので、みんな元に戻るやさしい力として「癒し」を求めていたのです。

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マッサージやスパ系のビジネスはあの頃花咲きましたし、サボテンに話しかけたりする植物のペット化もブームになりました。ロウソクとお線香は仏壇にしかなかったのに、アロマキャンドルが売れ、お香と名前をかえてお線香も随分市場を拡大しました。全部「癒しビジネス」です。

私も時代に乗っかって「癒しの研究」などしていましたので、よくメディアの記者さんに聞かれたものです。
「で、次に来るキーワードは何ですか」と。

「癒し」くらい大きな言葉、世の中からそうそう消えないキーワードは、なかなか出にくいものでした。

「癒し」市場の主な客層は、言わずもがな女性です。

この女性という生き物は、気分がマイナスになると、それをゼロに戻そうとする力が自然と働くようです。
男性に元に戻そうとする力がもう少しあれば、自殺率なども減るのでしょうけれど、どうやら女性より、その力はかなり弱い。日本における自殺率の男女比は、男性は女性の2倍以上だそうです。

女性は、自分を守る術を自然と身につけているのか「癒し」消費でいつの間にか元気になっていきました。長生きなのも頷けます。

バブル崩壊後は、心に余裕がない時代です。
誰も褒めてくれないし、ご馳走もしてくれない。もう自分で慰めるしかないと、凹んだ自分回復のために、ご褒美を与える女性たち。
「私はなんてかわいそうなのでしょう。だからこれ買っちゃおう」
自分で自分に餌付けです。悲劇のヒロイン消費と名づけたものです。

「癒し」→「女子力」へ

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景気も回復してきて、心も癒され始めると、人々はもっと元気になりたいというパワーを、求め始めました。
女性がこの流れを引っ張りあげます。
癒し消費の次は、パワーアップ消費です。

キーワードにすると、それが「女子力」という言葉だったのかなと思います。
普通の状態の女子が、女子力を求め、パワーアップする。

癒しの時代は、1990年後半あたりから始まり、女子力は2009年に新語・流行語大賞にノミネートされたので、10年ごとくらいに、世の中が大きく変化していくとすれば、次に求められる力はなにか、ということになりますね。

もう少しおつき合いください。

では、なぜ、女子力が求められたのか。
3つの理由があると私は考えます。
1つ目の理由は、「揺り戻し」です。言い換えれば、反動ですね。
バブルの頃施行された男女雇用機会均等法以来、女性は社会的・経済的に存在感を増していき強くなっていきました。それによって、晩婚や晩産化も起きました。かつては普通にもっていた「女子の力」は、男性社会で生き抜くために、徐々に必要とされなくなっていきました。それを全面に出すと女を武器に使って、といわれました。

しかし、髪をひっつめて働いた結果、部長にはなったはいいけれど、結婚・出産せずの先輩をみて、若い世代は思いました。
「幸せとはなんぞや」

失われた「女性らしさ、可愛さ」の復活が「揺り戻し」かなと思います。
「女子力あったほうがやっぱり世の中上手く生きていけそうじゃん」と。

2つ目の理由は、「格差埋め」です。
晩婚・晩産でできた溝は埋めたい。
溝を埋める相手は、対年下夫、対若ママ友であったりしますが、上手く生きていくための処世術としての女子力が必要とされています。23歳で産んだママと43歳で産んだママが共存する時代です。

3つ目は、「取り戻し」です。
年々失われていく「女性」の部分を取り戻したいといったものです。
これは、バブル世代以上の足掻きです。彼女たちは、あきらめきれないのです。

こんな3つの理由で女性たちは「女子力」をつけたくて、それにともなってさまざまなマーケットが誕生し、女子たちは消費していったわけですが、その中でも、昨年から、色濃く動き出したのが、3つめの「取り戻し」という女子力のマーケットです。私はここに注目しています。

女子力つけて取り戻したいターゲットは、45歳以上の女性たちです。
今は若者より、バブルを経験している45歳以上がずっと元気で影響力もありメディアを引っ張っています。

この年になってくると、外見だけではなく、内面的にも(体内とメンタル)様々なことが日々減退してきます。
ボディは重力に逆らうことなく、メンタルまでもかつてとは違います。
昔の人はこの「減退&減少の現象」を自然と受け入れていましたが、今のこの世代は、簡単には受け入れません。
取り戻すどころか、増やそうとしています。

45歳とはなに者か。
今一度確認してみましょう。

バブル余韻世代であり、
いい時代を経験済であり、
つまりお金を使うことも知っていて、
出産デッドラインであり、
更年期入門であり、
でも45歳は39歳くらいの気持ちで生きていて
51歳は45歳くらいに勘違いして生きています。
(女の勘違い年齢が実年齢よりマイナス6歳というデータより算出)
全国未婚率17%であり、東京未婚率20%の人たちです。

ちなみに、
女性が思う、日本のおばさん年齢は、44.1歳というデータもありますから、45歳はもう世の中的に立派なおばさんです。(博報堂生活定点調査2016より)

45歳の残り日、残り火、残り美

45歳は、この先まだ半分あるけれど、そろそろ「残り日」を意識しはじめる年頃でもあります。
女としての「残り火」を消さないよう油を注ぎ、静かに足掻く。
「残り美」を増やしたいなんていう気持ちは昔より強まります。

この女子力にネーミングをということで、
「女子抗力」と名づけたわけです。
ふう、やっとたどりつきました。
己の減りゆく女性性に抗って立ち向かう力です。

かつて右上がりだった45歳以上女子たちは、減り行く自分に、指を加えてみていることができません。
元に戻したい。
できれば、さらに元気よくなりたい。
死ぬまで女子でいたいという人たちです。

抗力とは、「流体中を運動する物体に、運動と逆向きに働く力」です。

減退していく自分に抗う力。
スムーズにアップさせる女子抗力マーケティングがこれから盛んになる予感がしています。

たとえば昨年あたりからその予兆が出始めています。

広告が変わり始めました。
「更年期」は今まで口に出して語るのはタブーでしたが、昨年大塚製薬のエクエルのCMでは、更年期で汗をかく妻を、やさしく労わる夫のシーンが自然に描かれていました。
こういう試みは初めてだと思います。
いまの更年期世代つまり45歳以上は、辛いことにじっと我慢なんてしませんから。

更けるという字を使う「更年期」なんていう言葉も、消えるでしょう。

実際、美容や健康にかける意識調査では、お金も使えば、欲もあり、そのうえ元気な世代は、アラフィフがダントツという結果も出でいます。

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健康にかける1ヶ月の出費
・・・・アラフィフ 4003円(アラサー2202円/アラフォー2880円)
美容にかける1ヶ月の出費
・・・・アラフィフ 4420円(アラサー3632円/アラフォー3816円)
いつまでも若々しくいたい
・・・・アラフィフ 87.7%(アラサー83.1/アラフォー83.7)
人生にハリがある
・・・・アラフィフ 42.5%(アラサー31.0/アラフォー36.1)
25歳~59歳女性1201人に調査 女性の健康に関する調査より(大塚製薬&欲望ラボ)

堂々と、年に抗う女子たちの誕生です。

そうそう、昨年驚いたのは、ミンクの指輪です。
マダムたちの指先はふわふわしていました。
ミンクのネックレスやピアスも流行りました。
指や耳や首までもがキラキラではなく、フワフワしてる。させたいのです。

服やバックや、爪はもちろんキラキラです。

貧弱になっていくボディを、イタクナク、上品に輝かせたいのです。

気をつけてみていれば、アラフィフ以上の女子たちは、みんなキラキラ、フワフワしていることに気づきます。

そこで、ひとつマダムたちにアンケートを出しました。
みんなが、「今求める擬態語」についてです。100くらい擬態語があがってきました。
それらを分析してみると、彼女たちに必要なサービスが見えてくるのではないでしょうか。

1位は、ドキドキ、ワクワク、キュンキュン、ルンルンなどのトキメキ系擬態語が多くあがりました。みんな心躍りたいのです。

2位は、キラキラ、ピカピカ、サンサンなどのキラキラ系擬態語。いろいろと鈍ってくるので必要になってくるのでしょう。

3位は、スイスイ、ホイホイ、サクサクなどのスイスイ系擬態語。行動の遅さが求めさせるようです。

4位は、ひらひら、フルフル、ふわふわなどのひらふわ系擬態語。年を重ねていくと、華やかさが減りいろいろペシャンとしてきます。

最後、5位は、プリンプリン、つやつや、ウルウルなどのツヤツヤ系擬態語でした。瑞々しさ、弾力を取り戻したいのでしょう。

ということで、これらの擬態語をいまある商品で考え直してみる、またいまあるサービスを擬態語で捉えなおしてみる。
マダムたちが目を光らせ飛びつくこと間違いなしです。
彼女たちの「女子抗力」が増していくなか、擬態語に注目すれば、女子抗力巨大市場をつくり出すヒントが隠れていそうです。

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