“Lift Off!” 全米の話題をさらったハーバード大学院教育課程卒業生代表スピーチ

アメリカは、卒業式シーズンもピークを越え、ほとんどの学生はもう夏休みを過ごしている。 今年も各大学の卒業式では、政治家・実業家・芸能人・映画監督などの著名人によるスピーチが行われた。しかし、今年の卒業式シーズン、話題をさらっているのは著名人ではなくて卒業生代表のスピーチだ。

ハーバード大学院で教育の修士号を手にした学生のスピーチが、最も胸打たれ感動的であったと、ヒラリー・クリントンや若者に人気のアーチスト、ジャスティン・テインバーレイクなどにSNSで取り上げられ、ニュースメディアも彼のスピーチをTV・ラジオ・インターネットで紹介し、全米の注目を浴びている。

学生の名前は、Donovan Livingston。
黒人の青年だ。
“Lift Off “と題された彼のメッセージは、口語体の詩の構成でテンポよく、情熱的に語られた。

人種差別で学ぶことを許されなかった黒人の歴史、今の自分ですら差別を感じる社会・教育の現場、それでも教育がどれだけ人を成長させ、可能性を与えることができるか、彼は教育者として、同じ教育者たちと学生たちに教育の無限の可能性を訴えた。

まずは、彼のパッションを感じるメッセージを直接体験してください。

Lift Off

“Education then, beyond all other devices of human origin,
Is a great equalizer of the conditions of men.” – Horace Mann, 1848.
At the time of his remarks I couldn’t read — couldn’t write.
Any attempt to do so, punishable by death.
For generations we have known of knowledge’s infinite power.
Yet somehow, we’ve never questioned the keeper of the keys —
The guardians of information.
Unfortunately, I’ve seen more dividing and conquering
In this order of operations — a heinous miscalculation of reality.
For some, the only difference between a classroom and a plantation is time.
How many times must we be made to feel like quotas —
Like tokens in coined phrases? —
“Diversity. Inclusion”
There are days I feel like one, like only —
A lonely blossom in a briar patch of broken promises.
But I’ve always been a thorn in the side of injustice. Disruptive. Talkative. A distraction.
With a passion that transcends the confines of my consciousness —
Beyond your curriculum, beyond your standards.
I stand here, a manifestation of love and pain,
With veins pumping revolution.
I am the strange fruit that grew too ripe for the poplar tree.
I am a DREAM Act, Dream Deferred incarnate.
I am a movement – an amalgam of memories America would care to forget
My past, alone won’t allow me to sit still.
So my body, like the mind
Cannot be contained. As educators, rather than raising your voices
Over the rustling of our chains,
Take them off. Un-cuff us.
Unencumbered by the lumbering weight
Of poverty and privilege,
Policy and ignorance. I was in the 7th grade, when Ms. Parker told me,
“Donovan, we can put your excess energy to good use!”
And she introduced me to the sound of my own voice.
She gave me a stage. A platform.
She told me that our stories are ladders
That make it easier for us to touch the stars.
So climb and grab them.
Keep climbing. Grab them.
Spill your emotions in the big dipper and pour out your soul.
Light up the world with your luminous allure. To educate requires Galileo-like patience.
Today, when I look my students in the eyes, all I see are constellations.
If you take the time to connect the dots,
You can plot the true shape of their genius —
Shining in their darkest hour. I look each of my students in the eyes,
And see the same light that aligned Orion’s Belt
And the pyramids of Giza.
I see the same twinkle
That guided Harriet to freedom.
I see them. Beneath their masks and mischief,
Exists an authentic frustration;
An enslavement to your standardized assessments. At the core, none of us were meant to be common.
We were born to be comets,
Darting across space and time —
Leaving our mark as we crash into everything.
A crater is a reminder that something amazing happened here —
An indelible impact that shook up the world.
Are we not astronomers — looking for the next shooting star?
I teach in hopes of turning content, into rocket ships —
Tribulations into telescopes,
So a child can see their potential from right where they stand.
An injustice is telling them they are stars
Without acknowledging night that surrounds them.
Injustice is telling them education is the key
While you continue to change the locks. Education is no equalizer —
Rather, it is the sleep that precedes the American Dream.
So wake up — wake up! Lift your voices
Until you’ve patched every hole in a child’s broken sky.
Wake up every child so they know of their celestial potential.
I’ve been a Black hole in the classroom for far too long;
Absorbing everything, without allowing my light escape.
But those days are done. I belong among the stars.
And so do you. And so do they.
Together, we can inspire galaxies of greatness
For generations to come.
No, sky is not the limit. It is only the beginning.
Lift off.

ハーバード大学院教育課程ウエッブサイトより

“Lift Off” とは、ロケットなどが発射するときに使うことば。
卒業の時によく使われる「旅立ちの時」ではなく「発射の時」が来たと彼は言っている。 今までの経験を、学びを、あますことなく開花させるのだ!教育者たるもの、「発射」するほどのエネルギーとパッションがなくてどうする!という力強い決意が感じられるタイトルだ。

メタフォーが多い詩的なスピーチ。彼の本当に意図するところを察するのはむずかしく、メディアはこぞって彼にインタビューをした。彼のホームタウンのメディアのインタビューの内容から、彼の人となり、スピーチに込められた思いを紹介したい。

リビングストンさんは、教育者として教育の機会の平等性を訴えている。
スピーチのはじめに、彼は教育改革者ホアース・マンの1848年の言葉を引用した。
「教育は、人を平等にする」
しかしそのころ、黒人は読むことも書くことも許されなかった。読み書きを学ぼうとでもしたら死刑にされていた。 今の時代を生きていなかったら、自分には居場所のなかった教育の場。それもハーバード大学院。 彼は、自分の恵まれた教育環境に感謝をしながらもいまだに教育の機会が平等ではないことを懸念している。

彼はスピーチの中で、今の「教室」と奴隷時代の「プランテ―ション」の違いは、時間の経過だけだといった。 ここで彼は教育と学歴の不平等性を訴えたかったという。

現在教室では、多くの生徒が教育方針や数多い能力試験の弊害にあっている。生徒に役立たないカリキュラムもある。彼は教育者として、生徒に教室は知識を得られる場だと実感してもらえるようにすることが重要だという。能力試験の結果だけで生徒を評価するなら、試験対策に時間もお金もかけられる生徒のほうが有利だ。彼は、大学のアドバイザーとして低所得者や移民の子など、今まで高等教育と縁の遠かった家族のサポートをしてきた。彼らが大学に入学するのは簡単になってきている。しかし、入学してから差が出てしまう。現在の教育システムは、エリート重視でマイノリティーに不平等だという。

今までマイノリティーは、大学へ行くことをゴールにしていた。しかし今の時代、それだけではだめだ。教室でいい成績をとっていても、先生のいっていることがわかっても、アカデミックな場に身をおいていても、自分自身の可能性をひきだし、輝こうとしていなかったらそこにいる意味はない。彼はそう強く信じている。

リビングストンさんは、ノースカロライナの4年制大学生時代に教授に「君みたいな人間の居場所は大学にはない」といわれたことが忘れられないという。大学の勉強方法に慣れていず、一度テストの点が悪かっただけで教授はそういった。途方にくれたが、ひとりの意見などに支配されてたまるか!と頑張って勉強をした。そんな経験を経て教育者になった自分は、世界とすべての学生と、シェアできる力強いものがあると信じているという。

勤勉さがすべての世の中ではない。どこで育ったか、どこに住んでいるか、肌の色で将来までも予測されてしまう世の中。リビングストンさんは、教育の場でそれをやめさせたい。教育の場には、ひとりひとりの生徒の状況を理解する優しさをが必要だという。

教育者は、情報を吸収させるだけではいけない。
教育者は学生のアイデアや目的に耳を傾けることが一番大切。
教育は、最高の自分に成長させてくれるもの。

愛にあふれるすばらしい教育者。
9月からはノースカロライナの大学で博士課程をはじめるという。教育・リーダーシップ・文化基盤を学び教育者としての自分の可能性にチャレンジをする。

教育の歴史の暗黒時代を知っているから、
現在の教育制度に満足していないから、
弱い立場にいる人たちの可能性を信じているから、
そしてなによりも教育がもたらすことのできる “Galaxy of Greatness” を信じているから、
このアメリカ中を感動させたスピーチが生まれたのだ。

“I belong among the stars. And so do you. And so do they. Together, we can inspire galaxies of greatness for generations to come. No, sky is not the limit. It is only the beginning. Lift off,”
「僕は星だ。君も、彼らも。さあ一緒に、後世の学生たちまでも銀河系の星の数ほどの偉大なことで奮い立たせようではないか。 「空ほど無限なものはない?」それは違う。空が始まりだ」

まっすぐに自分の信じる世界へ Lift Off!

教育は人を、世界を変えることができる。
そして彼は人を世界を変えていくことでしょう。
ゴーゲッターな教育者の門出に乾杯!
Good Luck! and be a GoGetter!

若者よ、大きく空に Lift off!